ホーチミン滞在の際に私が利用した宿泊施設は、BunVien(ブイビエン)通り『ニューサイゴンホステル』というホテルでした。
世界各国のバックパッカーが集まるBuiVien通りだけに、『ニューサイゴンホステル』の価格も安く、一泊2000円〜でありながらも部屋は清潔。
しかもこの値段で朝食付きという、貧窮バックパッカーの懐に優しいホテルなんです。
バックパッカーでもないのにこのホテルを選んだのは、懐具合は彼らとさほど変わらないから!
受付けしている女性の対応もよく、バックパッカー通りに面しているホテルなので英語は話せるし、18時を過ぎると瓶ビール1本フリーだし、至れり尽くせり。
ホテル紹介はこれぐらいにしておいて、受付けで見つけたチラシが本記事の中核をなすわけです。
数あるチラシの中で目を引いたのが「Saigon Aventure」。
バイクやシクロ(三輪自転車)、車などでホーチミンの見どころを回ってくれるツアーで、以下のような内容のツアーが用意されています。
Saigon Aventureのツアーメニュー
SAIGON CYLCO TOUR
PRICE:15$(330,000VND)
TOUR TIME:2 Hours
シクロドライバーが回ってくれるのは「Notre Dame Church(サイゴン大教会)」「Central Post Office(サイゴン中央郵便局」「Opera House(サイゴンオペラハウス)」「China Town(チョロンの中華街)」「Traditional Vietnamese Pagoda(パゴダ)」「Flower Market(フラワーマーケット)」「Fresh Fruit Market(果物市場)」「Pet Market(ペットマーケット)」など。
SAIGON BY NIGHT TOUR
PRICE:40$(880,000VND)
TOUR TIME:4 Hours(18:00-22:00)
観光者が訪れないようなホーチミンのローカルな場所を巡るツアー。
SAIGON STREET FOOD TOUR
PRICE:45$(990,000VND)
TOUR TIME:4 Hours(出発13:00〜、18:00〜)
ローカルの屋台などを回るツアー。
これらのツアーの中で、旅の同行者と共にもっとも興味をそそられたのは『SAIGON STREET FOOD TOUR』です。
地元ベトナム人が案内してくれるローカルベトナム飯屋へ、いとも簡単にアクセスできるわけですから、願ったり叶ったり。
ここでお役に立ってくれるのが『ニューサイゴンホステル』の女性スタッフで、希望ツアーと日時を伝えると、彼女がSAIGON ADVENTUREへ連絡し手配してくれました。
SAIGON STREET FOOD TOURへいざ出発!
13時出発の昼の部と、18時出発の夜の部があり、どちらも魅力的だったのですが、ツアーを申し込んだのが滞在最終日で我々のフライトが21時だったため、13時出発のツアーを選びました。
10分ほど前にホテル前へバイクでやって来たのは若いベトナム人の男女。
どちらも大学生で女の子が19歳、男の子が21歳というフレッシュな案内役です。
大学生がツアーガイドをやっていいのだろうか…。
しかもバイクに客を乗せてのツアー。
日本ならありえないツアーですが、ここは社会主義共和国ベトナム。
うっすらと雲が広がる空の下、彼らの運転するバイクに乗りツアーへと出発しました。
1:バインセオ&ブンボーフエ
私を担当してくれたのは女学生のファンちゃん。
快活で明るく、ネイティブな発音の英語を駆使する彼女は、バイクを運転しながら私にいろいろと話しかけてくれます。
日本人の19歳の女子大学生で、バイクを運転しながら初対面の外国人のおっさん相手に臆することなく会話できる人がどれほどいるだろうか。
話せば話すほど彼女の有能ぶりを感じます。
さて、のんびりとバイクを走らせることおよそ10分。
到着したのは市場の一角にある『NGA』というローカル飯屋です。
ここでいただくのは「バインセオ(Bánh Xèo)」と「ブンボーフエ(Bún bò Huế)」。
私はどちらも食べたことがなく初体験となるベトナム料理です。
バインセオはベトナム風お好み焼きとも称されるベトナム南部料理で、薄く焼いた小麦粉の皮に炒めた野菜を包み、それを野菜やハーブで巻いていただきます。
野菜のシャキシャキ感、炒められたクレープの食感、ハーブの薫り。
共通点のない三者が合わさると、こんなに旨くなるもんかね!
バインセオ初体験の私は、無言でかぶりついていました。
『NGA』で出てきた2品目はブンボーフエ。
米麺と牛肉をつかった麺料理で、ベトナム中部の街フエが発祥のため「フエ」と名付けられています。
ちなみに「ブン」は米麺、「ボー」は牛肉を指すベトナム語です。
ブンボーフエはフォーとは異なり、スパイシーなスープが特徴で、汗をだらだら流しながら米麺をすすっていると、あれよと言う間に完食。
『NGA』は創業して30年というだけあり、どちらも絶品でした。
2:ブンティットヌン&ゴイクン(生春巻き)
市場の中にはあらゆる商品が並び、散策しているだけでも楽しい。
さきほど2品食べたというのに、目に映る屋台飯に食欲をかき立てられるから、ベトナム料理は恐ろしい…。
こういったローカルなエリアを歩いていると、ホーチミン街中では見かけることが少なくなった、三度笠がよく目につきます。
ちなみに、ベトナム人がかぶっているあの“三度笠”はベトナム語では何と言うのだろうか。
「あの傘は『ノンラー(Nón lá)』と言います」
ファンちゃんが教えてくれました。
彼女いわく、「ノン」が帽子で「ラ」が葉というベトナム語だそうです。
このノンラーを見ると「ベトナムに来た!」っていう感覚になるのは、外国人が日本に来て「着物を見た」のと同じなんでしょうかね。
案内された2軒目も屋台です。
ここでまず出てきたのはブンティットヌン(Bún thịt nướng)。
焼いた牛肉を乗せたスープ無しの麺料理です。
聞いたこともないし見たこともなく、もちろん食べるのは初めて。
トッピングされているのは牛肉だけではなく、揚げ春巻き、砕いたピーナッツ、野菜と盛り沢山。
2軒目の2品目でついにあのベトナム料理が出てきました。
ゴイクン(Gỏi cuốn)です。
言わずと知れたベトナム料理を代表する一品で、ライスペーパーにエビや米麺、ハーブ、豚肉を包み、付けダレでいただく生春巻きです。
日本やタイで食べるゴイクンと明らかに違うのは、ライスペーパーのもちもち感。
薄くのばしているのに食感がしっかりしているのは、さすが本場の屋台と唸らされます。
うまいなぁ。
ここまでで完食したのは4品。
まだまだ食べられまっせー!
3:ホビロン(孵化前のアヒルの卵)
なるべくなら出合いたくなかった一品が私の前に登場しました。
さきほどの店の真向かいに貝料理の屋台があり、無類の貝好きである私は写真を撮りながら貝に見とれていると、ファンちゃんが私に提案してきました。
「ホビロン食べてみますか?」
孵化寸前のアヒルの卵を茹でた ものをホビロン(Hột Vịt Lộn)といい、フィリピンの路上で売られている「バロット」と同じ卵です。
これをフィリピンのアンヘレスで見た時は、何でも食べられる私でさえのけ反ってしまい、どうしても触手が伸びませんでした。
だって、気持ち悪いんですもの!
今回で2度目のご対面となったホビロン。
これも何かの縁かと思い、ファンちゃんに薦められたこともあって、挑戦してみることに。
男子大学生(名前忘れた…)が殻を向いてくれた卵のてっぺんからは、何やら黒い物体が…。
少し孵化しちゃってるんじゃないですかね!
昔々の方は、なんでこんなものを食べようと思ったのか…。
あまりの空腹に我慢ができず、孵化して育つまで待てなかったのか。
頂上だけ殻を向かれた卵に、スプーンを突っ込んで一口…。
黄身のような食感もあるものの、卵とは思えない固体と、塩分の効いたスープが味わえる。
うまいやん!
食わず嫌いとはよく言ったもんで、気味は悪いけれど評判通り旨いホビロン。
外見で判断せず、みなさんも食べてみてください。
4:ゴイゴーセン&ボッチン
バイクで移動し訪れたのは『Ho Thi Ky Flower Market』と呼ばれる花市場。
色とりどりの花々を見て癒されたら、ふたたび屋台の椅子に座ります。
ここで登場するのはゴイゴーセン(Gỏi Ngó Sen)とボッチン(Bot Chien)。
どんどんローカル色が強くなっていくベトナム飯の一品目はゴイゴーセンです。
蓮の茎を使ったサラダの一種で、「ゴイ」は生春巻きと同じ単語の「混ぜる」というベトナム語で、「ゴー」は茎、「セン」は蓮をさします。
蓮の茎なんて食べたのは人生で初めて。
別皿のタレをかけ、しっかり混ぜてからいただくようで、蓮の茎はシャキシャキとしていてクセはない。
サラダだから一番最初に食べたかった、という本音は置いておきましょう。
2品目として出てきたのは、ボッチンという愛らしい名称の卵料理。
揚げた餅を卵で包み、野菜等をトッピングする異色なボッチンは、おやつ感覚で食べられているベトナム料理だそうです。
醤油をベースにしたタレをまんべんなくかければ完成。
確かにおやつ感覚で食べられる。
そこらのベトナム料理店じゃ食べられないローカル飯でしょう。
5:バインクオン&バインウッ
ベトナム料理でときおり「バイン(Bánh)」という単語が冠せられているものがありますが、小麦粉や米粉を使い、生地で具を包む、生地に入れて焼く、生地で具を挟む料理に使われています。
ここでいただくバインクオン(Bánh cuốn)とバインウッ(Bánh ướt)も、米の生地で包む料理です。
まずはバインクオン。
生春巻きと似たもので、薄く伸ばしたライスペーパーに挽き肉やキクラゲ、シイタケを巻く料理。
ここではバイクオンを作る調理体験もあり、彼らが見せてくれた手本を真似て作っていきます。
まず、布がひかれた鉄板に薄く生地を伸ばす。
1分ほど待つとほどよく固まり、すぐにでも破れそうな生地を手元で広げ、具材を乗せてクルクルクル。
私が人生で初めて制作したベトナム料理は、バインクオンです!
このバイクオンを米麺に乗せベトナムソーセージや野菜とともに頂くのがバインウッ。
ベトナムのストリートフード、奥が深いな!
最後にバインフランで締め!
ここまで食したローカルベトナム飯は10品。
一食一食が少量とはいえ、さすがに腹がパンパン。
彼らが最後に向かったのは、中心地からrạch Bến Nghéという川を超えたすぐにある店です。
本ツアーの最後を飾るのは、バインフラン(Bánh flan)。ベトナム風のプリンで、美味しいという評判を聞いていたので、ぜひ食べてみたいと思っていたものでした。
こちら『Bánh Flan Quỳnh Hoa』は小さなお店ですが、プリンの種類と数は豊富。
店頭にプリンが山積みになっているのは、人気店だからでしょう。
2種類のプリンをいただくことにし、私が選んだのはノーマルプリント抹茶プリンです。
濃厚かつ口の中でとろけ、10食も食べた後ですが、あっちゅう間にペロリ。
若いベトナム人2人の優秀さに脱帽!
35歳と42歳のおっさん2人を4時間みっちりと案内してくれた2人のベトナム人大学生。
若い彼らは私たちと一緒に盛り上がってくれて、心の底から楽しい時間を過ごすことが出来ました。
後日、ファンちゃんはスマホで撮影してくれた写真データをメールで送ってくれるなど、ホスピタリティも旺盛で、45ドルが安く感じるほど。
このツアーを回っている最中、気になったのは雨が降ったときの対応についてです。
「雨が降った場合は屋根がある市場に変更するんです」
SAIGON ADBENTUREが用意しているツアー内容は3つほどで、あとは各々個人で編み出したツアーコースがあるらしく、ファンちゃんも自身で考えたツアー内容があるそうです。
19歳の大学生がそこまでやってるんですよ!
ホーチミンの食ツアーも満喫しましたが、優秀な若いベトナム人を目の当たりにしたツアーでもありました。
【SHOP DATA】
「SAIGON ADBENTURE – DAY TOUR」
TEL:0866-798-244
PRICE:SAIGON STREET FOOD TOUR 45$(990,000VND)
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